超おすすめのオーストラリアのミステリー:『The Lost Man』by Jane Harper

オーストラリア読書日記
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久しぶりに洋書を一気読みしました。

Jane Harperの3作目のミステリー、『The Lost Man』。

オーストラリアの内陸部の広大で荒涼とした原野で牛を追う一家を軸にしたミステリーです。一家の主で人望も厚いキャメロンが太陽の照り付ける原野(アウトバック)の真ん中で謎の死を遂げたことから物語が始まります。

舞台となる牧場は架空の場所とは言え、自分の住んでいるクイーンズランド州なのに加え、アサートン(Atherton)など身近な地名も登場するのでとても興味深く読みました。アサートンの人たちはあんまりいけてない例としての登場ですけどね。

ブリスベンからの距離やオーストラリアで一番暑い地方といった記述から、ロングリーチ(Longreach)やさらにそこから奥を念頭に置いていると思われます。

私はそこまでは行ったことはありませんが、それでもケアンズから数時間かけて西にドライブすると、荒涼とした原野に広がる牧場(cattle station)の雰囲気を垣間見る見ることができます。牧場と言っても敷地を横切るだけで丸一日かるような規模で、日本の牧場のイメージとはだいぶ違いますけど。牛はほぼ放し飼いですね。

イメージしにくい場合はニコール・キッドマンの映画『オーストラリア』なんかでもその雰囲気が分かると思います。

『The Lost Man』はミステリーとしての犯人捜しの部分はもちろん面白いのですが、その過程で描き出されるアウトバックの風景、牧場の厳しい生活、どこか陰のある登場人物たち、オーストラリアのムラ社会などを非常に興味深く読みました。

オーストラリア独特の表現もたまにありますが、英語も全般的に易しく、ぐんぐん読めます。普段あまり紹介されることのないオーストラリアの姿に興味ある方にぜひおすすめです。日本でもAmazonでKindle版が手に入ります。

ちなみに、Jane Harperの処女作『The Dry』もベストセラーで、オーストラリアの知られざる田舎の風景を垣間見るにはおすすめです。こちらはヴィクトリア州の農場が舞台ですが、陰のある登場人物や田舎の生活の詳しい描写などの魅力はそのままです。こちらは、日本語訳も出ているようです(『 渇きと偽り』ハヤカワ・ミステリ文庫 )。

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